君がいないと落ち着かない

「映画館の近くのラーメン屋は?」
「あ、じゃあさ本屋寄っていい?」
「いいけど…」
漫画かと思ったが、別に聞くほどのことでもないと考えて智弥に向けていた視線を足を抱えて緩めていたバッシュの紐を見た。
ふと、あの女子が頭の中で過った。終了式で少し見れたがそれまでも、それからも後ろ姿さえ見ていない。
同じクラスの女子にさりげなく聞いてみたが、名字が「青倉」と言うらしい。結構おチャラケた性格らしく問題は起こしはしないもののやることなすことしっちゃかめっちゃかで面白いと言うことも聞いたことがある。
「じゃあ行こう」
制服姿の智弥がエナメルバックを右肩に掛けて千尋を見下ろして声をかけてきた。
「行きましょう!」
脱いだバッシュをシューズケースにしまい、エナメルバックに突っ込んで上に来ていたウェアを脱いだ。運動して火照った体に体育館に吹き通る風が心地よく触れた。制服のシャツをはおり、紺色のズボンを履いた。


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