オフィスラヴ-鬼上司の対処方法ー
* * *
俺は朝礼後、綾部を執務室に呼び出した。

「綾部…瀬川さんの出方を待った方がいいぞ」

俺は深く物事を考えず突っ走るタイプの綾部にアドバイスをする。

「でも、返事は早い方が・・・」

「…相手は自社の社長秘書。副社長も絡んでいる。拗れたら、お前だって会社に居られないだろ?」

「それもそうですね・・・」

「全く、お前は考え方が浅い・・・」

俺は綾部の反応を見て頭痛を起こす。

綾部は額に手を当てて項垂れる俺に何かを差し出す。


「これ・・・」

「何だ!?」

「私がいつも持ち歩いている鎮痛剤です。頭痛にも効きますよ」

綾部は額を押さえていた俺に鎮痛剤を渡した。

「ありがとう」

俺は彼女を有り難く受け取った。

ドジな所ばかりが目立って、損なオンナだと思うが。

綾部はこうして、他人に気配りが出来る。

「お前がドジだが、いい所も沢山あるな」

「有栖川部長・・・」

綾部は鬼の俺に褒められ、嬉しいのかまた涙目になった。

「朝から泣くな!!綾部。堪えろ!!」

「だって…部長が・・・」



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