オフィスラヴ-鬼上司の対処方法ー
私はお母さんの着替えの入った紙袋を持って助手席に乗り込んだ。

「その紙袋は何だ?」

「母の着替えです」

「そっか・・・」

部長は運転席に乗り込み、キーを差し込みでエンジンをかけた。

「次は何処に行くんだ?」

「次は池袋にあるラブホテル『ブリリアンブルー』に行って下さい」

「ラブホ!?」

部長は鳩が豆鉄砲を食べたように驚いた表情になった。

「ラブホと言われても…俺とお前は…上司と部下・・・義理の兄と妹だぞ」

「そこがお母さんの仕事場なんです」


「はぁ?」

部長の目つきが瞬時に険しくなり、頭に角が出る。

「綾部お前…紛らわしい言い方するな!!」

「私が悪いんですか?」

「お前が悪い。『ブリリアンブルー』だな…行くぞ」

部長はハンドルを急激に回し、路面をタイヤで削るようにスピンさせ、走り出す。

今の部長の苛立ったキモチを表したかのような運転だった。



< 94 / 118 >

この作品をシェア

pagetop