そしてまた、キミに。
誰もいない屋上で一人、悩んだ。
坂口さんのことを知りたい。
だけど、本人に直接聞く勇気がない。
それを聞くことで坂口さんを苦しめてしまうかもしれないと思うと怖かった。
何もわからない、無知の領域に踏み入れる俺には、まだ彼女を受け止められる自信をもてなかった。
松田さんなら…
坂口さんのことをよく知っているはず。
松田さんとも関わりがありそうな
''大谷晃''のことを、
彼女なら教えてくれるかもしれない。
そう思った俺は、駄目元で松田さんに聞いてみようと決心した。
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「松田さん…
ちょっといい?」
放課後。
帰ろうとしていた松田さんを呼び止める。
「…どうしたの?」
「聞きたいことがあるねんけど…
ちょっとだけ時間もらってもいい?」
松田さんは何かを悟ったように
静かにうなづいた。