神様町一丁目一番地【短編】
カブと僕。
今日、僕が捕まえたカブトムシの
カブが死んじゃった。




学校から帰ってきたらママが
「あら、カブ死んだみたいね。
随分と長生きしたわよね。」
って言うから慌ててカブを入れていた
虫かごを覗き込んだ。




カブは今朝、僕がいれてあげた
イチゴ味のゼリーを
抱え込んだまま、じっとしていた。
いつもの餌を食べるときの
様子と同じだった。
指でつんつんと突っついてみる。




動かなかった。




その途端、
僕は力一杯声を出して泣いたんだ。
ママがぎゅうって直ぐに
抱き締めてくれたけど
それでも僕は泣き止まなかった。
弟のあっくんは僕の泣く姿を見て笑ったけど、
かまうもんか。
もしかしたら
僕の大きな声に驚いて
カブが起きるんじゃないかって、
ビックリするんじゃないかって、
そう思ったから、
だから大きな大きな声で
泣いてみたんだ。
だけどーーー




カブが動くことはもうなかった。


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