復讐

再会

あの日、出会った彗君は世子(皇太子)であったため、
皇帝陛下の死後、彼がその座に就いた。

それは悲劇の始まりだった。
彼は私利私欲のためにたくさんの金を巻き上げ、
貧しい民には租税が重く圧し掛かった。

そして、民の生活は日々貧しさを増し、貴族だけが裕福な生活を送った。

もちろん、謀反を働く民もいたが、奴の前ではもやは皆無、
女・子供関係なくその村ごと皆殺しにしたのだった。
その傍若無人さと残虐さは、まるで
後漢の丞相・魏王で、三国時代の魏の基礎を作った孟徳(曹操)のようだ。

だがその曹操と決定的に違うのは、奴が聡明ではないこと。

奴は女遊びが激しくなると殺人も面倒となり、
政権を私に与えた。「この国をどうにかしろと。」
自分が蒔いた種のくせにだ。

それでも私が優秀だから信頼できると
言われれば苦ではなかった。

しかし、あることがきっかけで殺意を覚えたのは最近だった。

ある日、新しい側室が後宮に入った。
「まぁ、なんと可愛らしいのでしょう。」
女中たちが騒いでいた。
「ほら、季様もご覧下さい。」
「いや、私のような者が滅相も無い」とは言いつつ
目に入れてしまった。
あれは・・・

かつて愛した玉蘭だった。
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