兄弟的同性愛事情
*熱の誘惑



ザー…


朝、窓の外を見ると


久しぶりの雨。


公園の桜は全て落ちてしまった。


来年まで見れないのを残念に思いながら、カーテンを閉めて洗面所へ向かう。


「うっわ…」


鏡に映った自分の髪型は


すっげーことになっていた。


湿気のせいかー…。


前髪なんてあらぬ方向へ元気に跳ねている。


直してる時間ないし…


すっげーことになってるのは前髪だけだし


俺は前髪を上げて、頭の上でヘアピンで留めた。


緑と黄色、2本のヘアピンは秀兄ちゃんがくれたもの。


たまに使う。


「よし」


こんなもんかな。


とりあえず、兄ちゃん起こさないと。


兄ちゃんは朝がすごく苦手で、俺が起こしても10分は絶対に起きない。


大学生になっても、こんなんじゃ一人暮しできないだろーな…。


「兄ちゃん!!!朝!起きろっ」


毎朝こんな感じってわけではないけど、今日はとくに起きにくい。


スヤスヤ寝てるし…。


寝顔可愛いな…とか、俺はいったい何言ってんだ!


そーじゃなくて、起こさないと遅刻する!!


「にーいーちゃー…ぎゃあッ!!?!」


体を揺すると、布団の中から伸びてきた手に捕らえられて


俺は布団の中に吸い込まれた。


「…おはよ、李桜。もっと色気ある反応できないの?」


寝起きの兄ちゃんの声は掠れていて


すんげー色っぽくて、俺はみるみるうちに真っ赤になった。


いや、なんでだ!!?!


兄ちゃんの寝起きの声なんて、聞き慣れてるだろ?!


「離して、兄ちゃん…」


「今日は学校休も?」


甘えてる…。


可愛いけど


「ダメだって!起きてよ」


意地でも学校には行く!!


授業遅れたら嫌だし!


それに、生徒会長が堂々と休もうなんて言うなよ。


まずいだろ、それ。



< 31 / 126 >

この作品をシェア

pagetop