大人になりたい
「あぁーー。教頭なんでこんな雑用押しつけるかなー。うわっ!外暗っ!」

気がつけば時計は6時をさしていた。

「ごめんな、瀬川!今日はもう暗いから帰りなさい。」

「あ、はい…………このプリントどーするんですか?」

「ん。俺がもうちょい残ってやってくから大丈夫だよ。」

でも……………。
まだ半分ほど残ってるのに…………

フッ………

突然目の前が真っ暗になる。

「え?な、なに?先生?電気つけて??」

「まて、多分…停電だな…………」

暗くて先生の顔さえ見えない。

「え…やだ………あの、先生どこ……?」

「大丈夫この教室にはいるから、心配すんなって。」

そんなこと言ったって……

ゴロゴロ……

「か、雷…………うぅ…………」

「なに、まさか…雷ダメなのか…?」

「その、まさかです…………」

ゴロゴロ…ゴロゴロ

だんだん音が近づいてくる。
ピカッ…
「きゃゃゃゃぁぁぁぁあ!」

「大丈夫だから…」

グイッ…
不意に手を引かれて抱きしめられる。

「え…」

「怖いんだろ?こーしてれば怖くない?」

あ…………
私のこと考えてくれたんだ…

「あの…………ありがとうございます…」

そう言うと先生は抱きしめる力を強くした。
先生の香りが鼻をくすぐる。
爽やかな先生にぴったりの香り。

私は…手を先生の背中にまわした…

「瀬川…………?」

「…………………」

ごめんなさい。
私…


………先生が好き……………。


フッ
急に電気がついた。

「瀬川…?大丈夫か?」

明かりがつくと私は恥ずかしくなって
先生から素早く離れた。

「あっ、あのっ…………すいませんでした………か、か、帰りますっ!」

私はドアから出ようとした時だった………
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