君と歩いていく道

恋情

押谷は休憩時間を使って、眠る真崎の顔を見に来ていた。

一緒に居たころよりも痩せてしまった体に、何故あの別れの時に引き下がってしまったのかと後悔する。

傍にいられたなら、一緒にいられたなら。
彼女を独りぼっちにしたのは、自分だ。

そんな自分を責めるような思いが、押谷の中に募っていく。
いつだってテレビ越しに見ていた。雑誌に載れば、買っていた。
こんなにも想っているのに、真崎は遠くへ行ってしまったのだ。

「何で、俺の傍に居なかったんだ・・・。」

小さく囁いて痩せた頬を撫でても、答えてはくれない。
死んでしまったのではないかと思えるぐらいにその肌は冷たく、呼吸はか細い。何度も呼吸を確かめ、心音を聞いた。

本当を言うと、真崎の腕の処置は押谷がしなければならない。
だが、あの傷跡を見るのがどうしても辛くて、内緒で大月に代わってもらっていた。

押谷の複雑な心境を多少なりとも理解する大月は、文句も嫌味も言わず、消毒や包帯の巻きなおし、点滴の付け替えまでやっている。一度目の処置は朝だったので、真崎はまだ寝ていたが。

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