君と歩いていく道
家に入ろうとした真崎に、一瞬だけ光るものが眼に入った。

振り返ってみても誰もいないので、何かが反射したのだろうと気にすることはなかったが、紺野もなんとなく気付いて、早く家に入れと促された。

「何だろうね。少し、気になる。」

「お前は家の中にいてくれ。確認してくる。」

散々カメラで隠し撮りされてきたせいか、二人はフラッシュに対してとても敏感になっていた。マスコミだけではなくパパラッチにも追いかけられた経験が、不安を掻き立てているのだ。

出来ることは夕食を作ることぐらいなので、真崎は出て行った紺野を待ちながら支度を始める。

動いていないと、とても不安だった。

幸い紺野はすぐに戻ってきて、何も無かった事を伝えた。
肩の力が抜ける感覚は久しぶりだと、安心した顔で真崎が笑ったので、紺野も表情を緩める。

その日はそれ以上何も無かったが、真崎の不安はすべてぬぐい去ることが出来ないでいた。


< 68 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop