君と歩いていく道
「あ・・・。」
窓の外を見ながら、少しうとうとしていたらしい。
そんなに時間は経っていないようだが、目覚めの悪さに頭はすっきりと醒めていた。
あの後起きたのは病院だったなと、1年ほどしか経っていないのに懐かしく思う。
穏やかな1年だった。
大切な人を支えて、ピアノも少しずつ弾けるようになって、知り合いも出来て。
やったことのほとんどない料理も、食べれるまでには上手くなったし、掃除や洗濯も覚えた。
このままずっとあの時間が続けば、それで幸せだったのに。
溜め息は出ても、もう全てを諦めたいとは思わなかった。
テレビで紺野の活躍は観られるだろうから、それだけでいい。
自分だって頑張れば、彼に元気な姿を見せられるはずだ。
見たくないと思われるかもしれないが、それならそれで仕方がない。
左の手首には、あの時の傷跡がしっかりと刻まれている。
触れれば皮膚が盛り上がって、眼を閉じても分かるほどだった。
これを見るたびにきっと、この1年を思い出せる。
どちらも一生、消えることはない。