君と歩いていく道
誰も幸せにならないこの婚約に、意味はあるのだろうかと問いたい気持ちはある。
返ってくる答えが分かっていたとしても。

「幸せになれなくても、あの人達は納得するんだろうけど。」

夏の終わりの日差しが眩しくて、真崎は手をかざした。
森野のもっともな答えは彼女を落胆させることはなく、お互い思うところは同じだと言う事を示しただけだ。

「どうにかなって欲しいと思わない?」

空を仰ぐのをやめた森野は、真崎をいぶかしんで見た。
彼女の表情は空っぽで、何を考えているのか分からない。
恋人だと紹介された紺野といる時の真崎は、もっと柔らかい雰囲気を持っていたのに。

「なって欲しくても、駄目だよ。」

「理由は。」



「彼が、テニスを続けられなくなる。」



再び歩き始めた真崎は、感情を隠すようにうつむいている。
出会わなければよかったとは思わない。
だが、自分のせいでこれ以上迷惑をかけるわけにはいかないのだ。
真崎だって母親の言いなりになりたいわけではないが、紺野のためなら我慢ぐらい出来る。
本当ならあるはずの無い妨害。
そんなもののために我慢をするというのは間違っているのかもしれないが、今の自分にはそれぐらいしか出来そうにない。
悔しさを心の中で殺して、二人は再び重たい足取りで進み始めた。



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