バラとチョコレート(X'mas 仕立て)
バラとチョコレート


洗練された店内、まるで宝石が並んでいるかのようなショーケース。

 
カフェの真ん中には大きなファウンテンがとくとくとチョコレートを噴出し、辺りはカカオの甘い香りに包まれている。

 
チャー○ーとチョコレート工場のような夢の世界がそこにはあった。

 
世界的なショコラティエ(チョコレート専門の職人のこと)の名前のついた高級チョコレート店。

 
チョコレート色の席に座り、店内をキョロキョロと見渡していると、ウェイトレスが白いプレートを運んで来た。

 
苺やキウイなど鮮やかフルーツとマシュマロがチョコレートのポットの周りを彩っていた。


フォンデュ用のフォークで苺を刺し、ポットの中のチョコレートをたっぷり絡めて頬張る。


温かくて、濃厚なミルクチョコレートの甘みの後の苺の酸味が堪らない。

 
さっき食べたランチの倍以上するチョコレートフォンデュのプレートを噛み締める。

 
気の合う女友達と高校の卒業記念で行った初めての海外旅行、初めてのパリ。
 
 
きっとこの時から、私はチョコレートの魅力に嵌ってた。




小さい頃からお菓子を作るのが好きだった。


お菓子の本を読み漁っては、お母さんがキッチンにいない時間を見計らって、お菓子を作った。


始めは失敗ばかりだったけれど、本の通りに作れるようになると、家族もおいしいと言って食べてくれ、その内、本を見なくても作れるようになっていた。


家族の誕生日には手作りのケーキを、バレンタインデーには手作りのチョコレートを。


なので高校を出たら製菓学校に通いたいという私の希望を両親はすんなり受け入れてくれた。


高校を卒業した私は晴れて東京にある製菓学校に通うこととなった。

 
製菓学校を卒業したのちは、パティシエ見習いとして、高級住宅地の中に建つ、有名洋菓子店に就職した。


数年間の修行のうち、パリに留学してみないかとオーナーに誘われ、2つ返事で渡仏した。

 
M.O.Fと呼ばれるフランス国家最優秀職人章をもらったショコラティエに師事し、チョコレートの菓子やデザートを学んだ。


2年間、みっちりとチョコレート菓子を学んだ私は帰国し、現在は再び洋菓子店に戻り、ショコラティエール(女性のチョコレート職人のこと)として働いている。


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