§ スウィート・クリスマス§

「直ってば…もっと早く言ってよね」


直の腕に絡ませながらイルミネーションが煌めく夜の街をゆっくりと歩いていく


「んー あーゆーのは、その場の方が諦めつくだろ?」


まぁ、確かにそうだよね
事前に言われたら、拓くんのことだから、強引に連れ去られるかも、だもんなぁー


「うん、あれで良かったよね
あ、ところで、マヤさんてどうゆう関係なの?」


「あぁ、ジュリアの友達さ」


て、ことは、あっち…なんだ…でも、めっちゃ美人!


「マヤは、手術終わってっから、もうオンナそのものだね それにモデルの仕事してる」


「やっぱり!」


スタイルいーし、キレイだもんねー


「さ、着いたよ、咲和」


「え? ここ…教会?」


アパートへ戻るかと思っていたら、古い建物の前に着いた
私に優しい瞳を向け、重厚な扉を開けた直は、私の手を引き、中へと招き入れた
小さな子供たちから年配の方まで、パイプオルガンの調べに乗せて賛美歌を口ずさんでる


灯りは中央の数本のキャンドルのみで、気をつけて歩かないと転びそう
しっかりと握りしめられた直の手を頼りにゆっくりと進む
一番後ろの席に行くと、この教会のシスターだろうか、優しく微笑みながら小さな花束を手渡された


白い小さなクリスマスローズ


可愛いな…
クリスマスの頃に咲くから、クリスマスローズって名前が付いたって聞いたことある
楽しいパーティもいいけど、こんなクリスマスもステキ

不意に、直が頬に触れ、横を向くと、直の唇が降ってきた
数秒重なり、離れ また重なる
ズルい… もっとシてほしくなるじゃない


「いつか…また来ような…今度は……で…」

え…?! 最後何言っているか聞こえなかった
離れた唇が小さく呟いた言葉
ね、それはプロポーズ?
直の顔を見上げると、優しい笑み

瞳がぼやけて頷きながら直の腰に手を回した
手の中の小さな花と、ここにいる人たちの歌声を聞きながら直の傍にいられることに感謝していた




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