§ スウィート・クリスマス§

拓?…って…


直の…弟…よね…


私の顔を見て、そして
直は玄関へ急いで向かって行った


なんだか…


とってもイヤな予感がした…




リビングへ、二人で笑いながらやってくる


「あ…」


ソファーに座ったジュリアさんに気付いた拓くん
片手にココアのカップ、もう片手に雑誌を持ち、
チラリと拓くんに視線を移し、また、雑誌に戻す


「なに? アニキ、とうとう、そっちに走った?」


リビングに入って、立ち止まった拓くんは
ジュリアさんを見つめている


「は? 何言ってんだぁ?」


立ち止まった拓くんの視線を追った直は、キッチンの傍のモニターの傍から
動けないでいた私を見つけ、腕を引っ張った


「残念ながら、オレ、今コイツに夢中だから、期待に副えねぇよ」


「あ、ど、どうも…」


後ろから、直の腕にすっぽりと包まれたままペコ、と挨拶をした


「え…、どっから湧いたの?! しかも、ちっちぇーしっ!」


う…

ちっちゃくって悪かったわね!


「咲和、コイツ、弟の拓、コンクールがあって、26日まで、こっちにいるんだってさ、
仲良くしてやってくれよな」


に、26日までぇっー!?

てことは、クリスマスも、一緒なのっ??


「咲和、です。よろしくね」


笑顔を引きつらせながら、挨拶した


はぁ…、26日までの間、不安だわ…








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