記憶
12月

page1 赤く染まる地平線



━4年前 冬━




「大翔…どこ、行ったの?」


「…」


「ねぇっ!
答えてってば!!」



どうして、皆黙ったまんまなの―…?



あたしが一向に口を開かない周りへの不信感をぶつけようとしたとき、言葉を発したのはお父さんだった。




「…大翔君はね、
行方がわからないんだ。」


「え…」



あたしの驚きとともに、周りの人たちがざわついた。




「どこか、異国へ旅しに行ったんだ」

「い、異国?」

「あぁ」



そう、お父さんが言った瞬間に、皆の顔がホッとしたような感じになったのは…気のせいか。



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