自転車通学と、徒歩通学
★人気者の彼と普通の彼女
「・・・あ」

今日も、風を切って、私の横を通り過ぎてく彼、蓮。

同じクラスで、人気者の彼。

そんな蓮に、私はかれこれ半年片思い中。

蓮を好きになったのは、本当にささやかなきっかけだった。


「これ、和泉のだろう?」

私の名前は、吉永和泉(よしなが いずみ)。

話したことなど一度もなかった。

同じクラスでも、どちらかと言えば大人しい私。

名前など知られてなんかいないと思っていた。

それなのに、私の名前を知っていた。

…しかも、下の名前で呼ばれ、心臓が口から出そうな程

驚いた。


「・・・あ、うん」

教室移動で、私の後ろを歩いていた蓮。

その蓮が、私の落し物を拾ってくれた。


「俺さ、和泉の物のセンスって好きだな」

「・・・え?」

「流行ものじゃないのに、なんか的を得てるっていうか・・・」

目を見開いた私、それを見てクスッと笑った蓮は、

私を追い越し、教室の中に入っていった・・・


ただ、それだけの事なんだけど。

そんなこと言われたの初めてで、

いや、女友達には似たようなこと言われたことはあるけど、

男の子に言われたのは初めて・・・
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