Treasure~もう一度、恋~
「藤村先生、取材、せっかくだから受けたらどうですか?
 いい宣伝にもなるし…」

「うーん、時間ないし…顔出しは、ちょっと」



そうなのだ

うちのオフィスの取材なら、喜んで受ける。

問題は、代表者であるあたし個人を取材したい、と言われたからだ。




“若き美人インテリアコーディネーターとして、大きく取り上げたいんです!
 業界ではすでにかなり有名とうかがっておりますし、会社の宣伝にもなりますし
 ぜひお受け頂けませんか?”



人のよさそうな担当者の言葉が思い出される。




「たしかに先生ほどの美貌があれば、話題になりますよ~
 なんでそんなに嫌がるんですか?」

「美貌って。ほめても何も出ないよ?」

「えへへ。」

「あ、もうこんな時間。出かけます!」

「行ってらっしゃい」



打ち合わせの時間が迫っていたことに気づいて、あたしはかばんを手に

オフィスを出た。




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