air-s Word


後部座席に座っていた僕だけが奇跡的に助かって、直ぐに祖母の元へ引き取られた。


だから、僕には両親の記憶がほとんどない。



…思い出そうとしてもぼんやりとした 顔が浮かぶだけで、そんなんだから「悲しい」と思ったことはなかった。


むしろ物心つく頃には祖母の方が大切な存在になっていて、気づいた時には「おばあちゃん子」になっていた。



祖母は父と母、 二人分の愛情を僕に注いでくれた。


優しい、優しい人だった。




―だから、両親がいなくたって、辛くなかったんだ

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