ネージュ【短】
いつしかエレベーターの前まで来ていて、立ち止った光輝くん。



あれから一言も喋ることはなく、ただ歩き続けた。



「あの…、光輝くん」



「なに」



やっと口を開いてくれたと思いきや、やっぱり不機嫌なままで。



「どうしてエレベーター、上のボタン押してるの…?間違いじゃない…?」



怒ってて、間違えたのかな。



ぽーん、と音が鳴りドアが開く。



光輝くんは何も言わず、またわたしを引っ張り中へと入った。



ドンドン上に上がっていき、最上階の20階でドアは開いた。



また無言で、わたしを引っ張り一つの部屋の前で止まった。



部屋の鍵を差し込み、ドアを開けるとそのままわたしも中に入れられた。



ドアがパタンと閉まった直後、光輝くんの顔が近付いてきて、わたしは瞬間に顔を背けた。
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