ネージュ【短】
光輝くんは、本当に来るのだろうか…、と不安になった。



「もしかして、仕事じゃなくて…」



普通は、事故?と心配するかもしれないけど、わたしの場合もちろん事故も心配だけど他に女の人がいるんじゃないかなと、心配してしまう。



だって、光輝くんは……。



「夢叶ちゃんっ!!」



色々な妄想をして泣きそうになった時、わたしの名前を呼ぶ声が聞こえ振り返れば。



「光輝くんっ」



来てくれたことに嬉しくて、わたしは自然と笑顔になった。



「ごめんっ、課長に捕まちゃって帰れなかったんだ。…って、そんなの言い訳だよね」



光輝くんは、申し訳なさそうに俯いた。



「ううん、大丈夫だよ。わたしも今さっき来たとこだし!」



なんて、笑顔で嘘を付けば。



「ウソでしょ」



「えっ」



光輝くんは、ふわりとわたしを抱きしめた。



シトラスが効いたフレッシュな香りに、胸の奥がキュンとした。
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