ネージュ【短】
「あー、アレ見てたの」



バレてしまった…。



「あの…、えと…」



言い訳を考えるも、何も思い付かなくて言葉に詰まった。



「夢叶ちゃんもしたいの、キス」



何かを企んだような、イジワルな言い方にわたしは俯いた。



「ほーら、そんな下向かないの。可愛い顔、見せて?」



光輝くんの両手が、わたしの頬を優しく包んで正面を向かせれば。



クスリと笑った、光輝くんの目と目が合った。



「うん、今日も可愛い」



光輝くんは、ストレートに言葉にしてくれる。



「可愛い」「好き」…、女の子が喜びそうな言葉を、恥ずかしがることもせず言ってくれる。



そのたびに、わたしはどんな顔をしたらいいのか分からなくなるんだ。



「どうして、手袋してないの」



「うっ…」



「まさか、忘れたの?」



光輝くんの言葉に、小さく頷けば。



「まったくもう…」



そう言いながら、両手でわたしの手を包んでくれた。
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