ゆびきり
気まずい雰囲気になるまえに、私は帰ることにした。




玄関で靴をはいていると、突然ドアが開いた。






「ただいま」






ドアのむこうには、啓がいた。
私は初めて芸能人を見たからキョトンとして啓をみつめてしまった。





「珍しい、友達？」






テレビ通り、爽やかでカッコイイ、自然と頬が赤くなる。






「啓、うん。日和だよ。それより早かったじゃない」




「ああ、順調だったから。またきてね、日和ちゃん」





芸能人に笑顔であいさつされちゃった。





私は舞い上がって、何をいえばいいのかわからなかった。





「あっ、どうも…初めまして」






「日和、こんなやつの相手しなくていいから、いこっか」






「ひでーな」






梨由と啓は仲良しなんだ、なんか意外。嫌いな旦那さんの弟だって雑誌に書いてあったのに。





「お邪魔しました」





私は緊張してうまく顔が作れなかったが、精一杯の笑顔で啓に言った。





「うん、気をつけてね」





啓も笑顔で手を振ってくれた。
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