好きです…

１人の夜

朝、目が覚めると優くんがいなかった。どこに行ったんだろう…

部屋に１人ポツリといることが寂しいと思わなかった…

とりあえず、顔洗ってこよ…あっ、タオルないや。ハンカチでいいか…


顔を洗ってたらカチャッと鍵が開く音がした。

「梓、起きたか？」


優くんか…


「うん、起きたよ。どこに行ってたの？」


「朝飯買いにな。そしたらさぁ、偶然、見かけてさ…」


「何を？」

「何を？…って物じゃなくて…」

「物じゃないって…知り合い？優くん、こっちにお友達いるの？」


「違うよ！昨日の男だよ！お前をここまで連れてきてくれた！」

「えっ!?」

「いやぁ〜、昨日は俺もパニックだったからさ、怪しい奴だと思って警戒したしさ、ちゃんとお礼しとかないとと思ってさ。」


「梗太さん…何か言ってた？」

「いや、特別は…あっでも、ここから家近いみたいだし、梓のこと、なんとか面倒みてくれってお願いしておいたよ。役所の人だしな、信用できるだろ。」


「…………」

ポカ〜ンとしてしまった私に

「『見かけたときは声かけるようにします』って言ってくれたよ。いい奴だなぁ。」


「仕事柄だよ…」

優くんに聞こえるか聞こえないかの声でポツリ呟いた…


「んっ!?何か言ったか？」
「あっ…ううん。なんでもないよ」

「なかなかのイケメンくんだったしなぁ。ベビーフェイスだし、てっきり梓と同じ歳くらいかと思ったら俺より歳上だっていうから驚いたよ。」


「ぷっ…優くん、老けてるからね〜。」

「老けてるんじゃなくて、ちょっと大人っぽく見られるんだよ！」

「うん、うん。そうだよね。」


「梓…顔、笑ってるぞ…」
「ごめん、ごめん。おかしくて…」

「ったく…ところで、荷物、何時に到着だ？」

「13時だよ」

「じゃ、今のうちに飯食って、役所に手続きしに行くぞ」

「えっ…１人で行け…」

私が言い切る前に優くんが
「行けるわけないよなぁ〜…役所の場所、わかんないだろ…。」

「はい…すみません。よろしくお願いします。」

「よろしい!!」