イチゴ大福

「お!やす!来たか!」

そう、笑顔で言ってきた恭弥さん。

「あー、まぁ、仕方なく?」

俺はそう言って笑った。

「…守りたいものでもできたんだな?」

そう言ってきた恭弥さん。

その言葉に少しドキッとした。

俺に、守りたいものなんてないよ、きっと…

でも、

「…恭弥さんは?」

恭弥さんはいるんじゃないか?

俺はそんな気がした。

「俺?俺にはな、大切な人がいるんだよ。」

そう言って、懐かしそうに、優しく微笑んだ。

「それって、女…?」

俺は率直に質問する。

本来の俺ならそんなことは聞かないだろう。

だけど、気になるんだ。

恭弥さんをここまで動かす人間がどんなやつなのか…


「…珍しいな。
そうだよ。女。
俺にとっては初恋の幼なじみ。」

幼なじみ…

でも、俺は今までそんなやつ見たことない、

「遠距離なんですか?」

「遠距離…ねぇ、それは付き合ってる同士がやるもんだと思うんだけど?」

「…違うんすか?」

「まあな。正直、俺の事を覚えてるかどうかだってわかんないんだしな。」

「それって…」

辛いんじゃないか?

そんなことを聞こうとしたけどやめた。

あんまりにも幸せそうに、その子のことを語る恭弥さんがいたから…



< 145 / 198 >

この作品をシェア

pagetop