イチゴ大福

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ある日…

恭弥さんがふつうべやに移動したとき…


俺は恭弥さんのお見舞いに行った。

珍しく、俺一人で。


俺達は怪我が少なかったため、次の日には退院できた。

恭弥さん以外は…。

恭弥さんは俺達が退院した次の日、集中治療室から普通べやに移動した。

俺たちはほぼ毎日、恭弥さんのお見舞いに行っていた。

その日はたまたま、みんな用事が重なったようで、

俺一人、とぼとぼと歩いていた。

「ーッぅー…ッ」

俺が恭弥さんの病室へ向かって歩いている時、ふと、横から押さえ込むような泣き声がした。


いつもの俺なら多分放置なんだろうけど、

何故か放っておけなかった。

声だけで判断できたのは、それが女だということ。

でもけして、やましい思いがあったわけじゃない。

多分、恭弥さんやせいじさんならこうするんだろうなって思ったから。

…だと、思う…。

「お…ぃ…」

俺は、隠れているだろう部屋を開けて声をかけた。

でも、驚いた。

そこにいたのは、紅音だったから。

俺が声を発したのにも関わらず、気づいていないようで、

泣き続けてる。

…なんで、泣いているんだ…?

そう思って紅音のところへ行こうと、足をだそうとした時…


ぐいっ

と、後ろへ引っ張られた。

「ーー!いってぇ…ッ!!」

いてぇな。

そういおうとしたら、口を塞がれた。

やったのは…


「ふぁぶぁふぁ…(麻妃…」

麻妃は、わかりやすく顔をしかめて

「そっとしておいてあげて。」

そう言った

「慰めねぇのかよ。」

女って慰め合うもんなんだろ?

大丈夫!○○ちゃん可愛いもんっ

的な感じで。

「んー、慰めなくていいこともあんのよ」

そう言って笑った麻妃。

正直、コイツはなに考えてんだかわかんねぇ…から、こえーんだよな

「あいつ、なんで泣いてんだよ…」

そう、俺がつぶやくと、

「恭ちゃんのこと、自分のせいだって責めてんのよ」

そう言って苦笑した。

意味わかんねぇ…

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