イチゴ大福


「ごめん、恭ちゃんは私にとってお兄ちゃんみたいな存在なの…」


そう言うと、切なそうに、でも、優しく笑って、


「知ってたよ。自分に対してのけじめだから。」

そう言った。

「だから、泣くなよ…」

そう言って苦笑した恭ちゃん。

泣く…?

うん。そうだね、

私泣いてる、

なんでだろうね、

恭ちゃんを選ばなかったことを後悔してるのかな?

ーいや、それは違うね、

じゃあ、恭ちゃんに対しての同情?

ーそれも多分違うね。

ホントはわかってるんだ。


恭ちゃんが離れていってしまうことが

不安で、

悲しくて、

寂しくて


それで泣いてるんだってこと…。

優しい恭ちゃんはきっと、それを言えば離れては行かないだろうね。

でも、私にはもう引き止めることはできないから…

だから私は自由にしてあげる

友情という名の檻に入れられた恭ちゃんを…

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