smile
「あ、拓海君だ!」

そう言って、海は笑った。
あまり会話もしなかったし、関わりもほとんどなかったから、

海が俺の名前を知っていたことが意外で、びっくりした。


「なんで名前…」

思わずそう聞くと、

「ソフトボール部では、ちょっとした有名人なんだよ?拓海君」

「え?」

海はこの時、ソフトボール部に入部していて、

初めて出会ったときより、少し肌が日焼けしていた。

「えへへ…ヒミツなんだけどね」

そう言って、白い歯を見せて笑った海。


ほんと…よく笑うなぁ…

俺はこの時、海の笑顔の裏に隠された、辛い現実に気づくわけもなく、

呑気にそんなことを、考えていた。
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