【短編】HONEY DROP
「はいはい、ごめんね。麻美って、からかうと反応が面白くて……」

「陽子ぉ……」

クスクスと笑いながら私の頭を撫でる陽子を睨む。
だけどもそんな陽子も、綺麗だなぁと思ってしまうのは、私だけではないと思う。
無意識に、私の手の中にあるハチミツ飴をぎゅっと握った。
その右手を陽子はちらっと見て、頬杖をつきながら言う。
微かにニヤニヤしてるのは私の気のせいではない。

「そんなに大事そうに持ってさ。……好きなんだ?」

「好きって別に……」

ハチミツ飴が、じゃない。
陽子は別のことで“好き”と聞いている。
口を篭らせながら言う私の顔は、自分でもわかるくらいきっと真っ赤だ。

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