恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―

◇ご主人様の命令

アパートから持ち出したのは、残っていた衣類と化粧品関係、フライパンなんかのキッチン関係、ノートパソコン、タオル、それと細々とした物。
そして……テレビとレコーダー。

本当はテレビは持ち出せないし無理かなって思っていたけど、私が買ったものだって知った和泉くんが、気付いた時には運び出していて。
まぁでも、元カレは一円も出していないし文句言われる筋合いもないかと、ついでにレコーダーも持ってきてしまった。

ついでに言えば冷蔵庫と洗濯機も私のだけど、中古でかなり安く買った物だしもう寿命だろうから置いてきた。

和泉くんの車に詰め込むだけ詰め込んで、そしてマンションについてからは何度も車と部屋を往復して、ようやく全部が運び終わった時には自然とため息が出ていた。

玄関でへばっている私を見て、和泉くんは、だから手伝うって言ったのにと呆れて言うけど、そうはいかない。
車を出してもらえただけですごく助かったんだから！とかなり強い口調でなんとか押し切って、和泉くんの手伝いを断った。

テレビだけは重たいからと持ってくれたけど、それ以外はなんとかひとりで運べた事にほっと胸をなで下ろす。