恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―


「俺に好きなようにされていいのか?」
「うん……」

頷くと、そんなだから男にいいように扱われるんだろと呆れたように笑われる。

「そうかも。散々言いなりになった挙句、つまらないって言われちゃった」

バーで坂下さんから言われた事を思い出して自嘲して笑うと、和泉くんの顔から浮かべていた呆れ笑いが消えた。
至近距離から真剣な瞳に捕えられて、油断していた心臓が跳ね上がる。

和泉くんの指先が、ゆっくりと近づき私の頬を撫で下りる。
それだけでゾクゾクとした感覚が背中を走り抜けた。

「今日、あのバーで聞いた話は全部忘れろ」
「え……」

これから俺がする事だけを覚えていればいいから。
そう言った和泉くんが再び近づいてキスをする。

時間をかけてキスをしながら、服の中に入り込んだ手に肌を撫でられる。
お腹のあたりから、じらすようにゆっくりと上がってきた指先が胸に辿りついて膨らみに触れる。

丁寧すぎる行為に、恥ずかしさともどかしさが一緒くたに湧き上がってきてどうしていいか分からない。


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