恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―
「傍から見ても絶対に両思いだったのにね。
あれで両思いじゃなかったなら、誰も自信を持って告白なんてできないよ」
視線をあげると、優しくも少しツラそうに細められた瞳と目があった。
「人の気持ちなんて、開けてみないと分からないものなんだって、莉子のあの一件で思い知った。
勝手に応援して両思いを確信してた私ですらショックだったんだから、莉子のショックは相当だったよね」
何も答えられずに笑顔だけ返す。
傷ついてないって言えば大嘘になる。
涙もでないほどのショックなんて、初めてだった。
実感が湧かないだけで、そのうち悲しくて仕方なくなるんだろうと思っていたけれど、それからどれだけ時間が経っても涙はでなかった。
それは今もそうで、あれから和泉くんに拒絶された事に対して泣いた事は一度もない。
ただ、優しい彼を苦しめてしまった事がショックで、拒絶されて地面に落ちた自分の気持ちを気にしている余裕なんてなかったんだと今は思う。
傷ついた気持ちよりも、自己嫌悪の方が数倍も大きくて、ショックを飲み込んでしまった。
そしてその自己嫌悪とその中に埋もれた傷ついた心は、今も鮮明に私の中に残っている。
風化も治療もされないまま。