人知れず、夜泣き。


 朝礼を終え、開店時刻を迎えた。

 久しぶりの接客・販売。

 やっぱり、楽しい。

 でも、当然修くんの姿はなくて。

 今も美人秘書と一緒なんだろうなと思うと、苦しくて。 淋しくて。



 「桜、眉間に皺寄ってる」

 百花が傍にやって来て、ワタシの顔マネをした。

 考え事をしていたら、無意識に顔を顰めていたらしい。

 「今、そんなにお客様いないから、トイレにでも行って気持ち切り替えておいで」

 「・・・ありがと、百花」

 百花に甘えて、全くもよおしてもないけれど、トイレで一息ついて来ることにした。
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