人知れず、夜泣き。

 修くんの優しさに、涙が加速する。

 泣かない様に堪えながら、どうしても出てきてしまう鼻を啜っていると、修くんが顔を近づけてきた。

 「泣かないの?? 桜」

 『うるうる来てるのに、なかなかしぶといよね、桜』と、修くんが無理矢理ワタシの目から涙を振り落とそうと、ワタシの身体を揺すった。

 ワタシは人前で泣くのが嫌いだ。 でも修くんは、ワタシにこっそり泣かれる事が嫌らしい。

 故に、ワタシの泣き顔を見たがる。

 「・・・泣きませんけど??」

 意地でも泣くもんか。

 「桜って、泣き時を分かってないよね。 今だよ、今。 桜が泣く⇒オレが宥める⇒ラブラブタイム突入パターンだよ」

 修くんが、『さぁ、泣いて!!』と泣くように急かすから、面白すぎて泣けない。 と言うか、涙引いてきた。

 「イヤ、今シゴト中なので。 いい加減戻るよ、ワタシ」

 変な事ばかり言う修くんを取り残して、お店に戻ろうとしたワタシの腕を修くんが掴んだ。

 「泣かないなら、鳴かせてやる」

 「・・・はぁ??」

 「ここ、壁薄いから大きい声出さないでね。 いただきます」







 泣かぬなら 泣かせてやろう 桜さん




 おしまい。
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