50センチとチョコレート
50センチとチョコレート



カチカチと、パソコンの音が響くこのオフィス。
入社して早5年の月日が流れていて。
パソコンの進化に、全く進化しない私は着いていくのが精一杯。

たまに上司の目を盗んで、引き出しの奥に隠してあるチョコレートを口に運ぶのが、私の日課になっていた。


そして、そんな私に同じようにチョコレートを求める隣の彼。
「もう、自分で買っといてよね」なんて憎まれ口を叩いてるけれど、この時間が何だか心地良くて、自分でも不思議なんだけど毎日の楽しみにもなっていた。


企画書なんて書いたって女の私は門前払い。
男尊女卑なこの会社には嫌気もさすけれど、働かないと家賃が払えないことを考えていると、いつの間にか真面目な無遅刻無欠勤社員。



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