『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
その夜、敬介からの電話。


『志穂、本当にごめん! 』
「どうするのよ、マージナルは漫才が苦手なんでしょ」
『勉強するから、勝ってみせるし』
「担当してるSuper ㎡が負けたら、あたしはクビだよ! 」


大枚叩いてデビューさせた以上、暮れに引退させる訳には行かないんだから。


でも、マージナルが負けたら敬介が引退。


それも、かなり困る。


『大丈夫、そしたら俺のお嫁さんになればいいよ』
「ちょっと待って! そういうの嫌」
『何で? だって結婚したらコソコソする必要無い』
「違うの! 仕事ってそんなモンじゃないの」


そう、あたしはこの2年でマネージャー稼業が好きになっている。


2人を担当するようになってからは、ちょっとアレだけど。


ダメなら結婚って、違う気がする。


『志穂、俺の事嫌い? 』
「嫌いじゃないよ、愛してるって」
『じゃあどうして嫌なの』
「だって……」


あんなに苦労して就職して、それで仕事に生きがいを感じ始めてるのに、途中で放り出して結婚なんて。


『言えないんだね、そうか』
「敬介! 違うってば! 」
『いいよ、ごめん』


あああああ、電話が切れた。


ロミオ、どうしてデブでブサイクなジュリエットの気持ちを理解してくれないの。

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