克服ブラックベリー

*清哉side*

目覚まし時計の音なんて耳に入らず
いつも飼い猫の生温かい舌で目が覚める。
「ん……あんこ…おはよ」
ウチのあんこは、ニャーと鳴き布団に入ってくる。
「まださみぃもんなぁ……」
ドスドスドス…と苛立った足音が聞こえる。
誰だかはもう分かってる。
本当のところ、目覚まし時計が鳴ってる時点で
インターホンが連打されてたけど
知らねーフリしてた。
「せーいーやぁぁぁ!」
「ぐふぅっ…」
昨日床に投げ捨ててた俺のカバンを
みぞおちにジャストミート。
さすが鬼女、清羅華恋。
「もうちょっとマシな起こし方ねぇのかよ」
「ばーか、マシな起こし方じゃあんた起きないでしょ?
あたしはもう学校行くからね!今日新学期でしょ?クラス替えもあるし…」
朝からめっちゃ喋んな…
俺は重い体を起こして時計を見る。
「8時………」
「えっ、嘘っ!!」
時計を奪い、焦った表情で長針短針秒針と睨めっこ
3対1だ、勝てっこない。
「やばい!あたしまで遅刻する!」
ドタドタドタと足音…
あんこは、またニャーと鳴き
俺の居た布団に潜り込む
「はぁ…猫は気軽でいいな」
そう言って、あんこの頭をひと撫でして
身支度を30分で終わらせる。



「ちぃーっす」
「今日は3分いつもより早いな、早く座れー」
毎日遅れてくるもんだから
先生は全員耐性ついてる
茶色に染めた髪の毛も
耳に付いてるピアスも
もうみんな慣れっこだ。
特に今教室にいる”竜ちゃん”こと
竜沢利夫先生は特に慣れっこだ。
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