彼女の世界が変わらぬ理由
飛田は黙り込み、顎に手を当ててじっと絵を眺める。
芸術家の顔だ。
マリアは彼を見上げて思った。
真摯な横顔に一瞬、懐かしさをおぼえる。
「…少し、変わってきたね」
「え?」
「キミの絵。去年から少しずつ、変わってきているだろう」
マリアは意味がわからないと、首を横に振った。
いつもと変わらず、描いているつもりだった。
「昨年、特別賞をとっただろう? あの辺りからじゃないかい」
「…わかりません」
マリアは昨年、学生ではなく一般の小さなコンクールで、賞をもらった。
騒がれるような出来事ではなく、マリア自身も、嬉しかったわけではなく。
ただ、寂しかった。
心が、折れかけていた。