彼女の世界が変わらぬ理由
別の人間の作品であるなら、その人物から盗作であると指摘される可能性がある。
森山としては当然の危惧だろう。
しかし誰と言われても、上手く答えられそうにない。
「名前も年も、いま何をしている人なのかもわからないんです」
「わからない?」
「昔、子どもの頃にもらった絵なんです。相手も子どもだったんですけどね」
マリア軽く言うと、横でポカンと口を開いていた安東が間に入ってきた。
「ま、待ってよマリアちゃん。じゃあどうしてマリアちゃんは、十年も同じ絵を描いてたの?」
「それは……。ただ、お礼が言いたかったの」
「お礼?」
「あの時は、伝えられなかったから」
こんな風に言っても、やはり安東にはわけがわからないだろう。
現に大きな目をパチパチさせ、首を傾げている。