Bitter Sweet
「んじゃ、一応空けといて。行きたいライブがあるんだよ24日。」

「…うん。ライブって誰の?」

心なしか頬が熱くなるのを感じながら、平静を装いつつ尋ねた。


「実はもうチケットだけとってある。」

そう言って、財布の中からチケットを二枚取り出し、見せてくれた。


「あ…!」

思わず言葉が出なくなったのは、

そのライブをやるのが、私達が高校時代よく聴いてたバンドだったからだ。

一度解散したけど、最近になって再結成したバンドだ。

「これ…めっちゃ行きたい!」

興奮気味に昂くんの顔を見ると、

「だろ?絶対喜ぶと思った。ま、俺もすげー楽しみだけどな。」

口の両端を上げて目も細める昂くんは、とても嬉しそうで。


私もすごく嬉しくなった。

昂くんの笑顔を見てると、私の心まで優しくなる。

それ位、彼は穏やかだった。

昔よりも、それは増したような気がする。


クリスマス、楽しみだな…。

自然と頬が緩むのを感じながら、

ピンク色のカクテルを味わった。
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