Bitter Sweet
★Honey ~side REN~
オレは今まで、自分から女の子に告白とか、したことがない。

気になるコの方から言い寄って来てくれていたからだ。

自慢してるわけじゃない。

そうやって手に入れることは出来ても、

それを持続させることの方がよっぽど大変だ。


勝手に浮気してるとか思い込まれて、
もう信じられないとか言われて。

オレの想いは無視して、勝手に離れていく。

そんな女達にウンザリして、
恋愛に冷め気味だった頃。


オレに全く興味を示さない、むしろ距離を置く女性がいた。

職場の先輩、桃瀬ひかり。

サラっとしたロングヘアをサイドで束ねて、凛とした雰囲気でいつも仕事をこなす姉御肌の彼女。

仕事上のオレのパートナー。

オレのこと、嫌いなのかな。

そう思うほど、線を引かれている気がしていた。

そんな扱いされるのは珍しいことで、妙にこの人に興味を持つようになった。


家が近いと聞いて、飲みに誘ってみても断られ。

何、このヒト。
会ったことないタイプ。斬新。

断られてんのに、急速にオレは彼女と仲良くなりたいと思い始めた。

そしてなんとか。

飲み仲間になった。

ひかりさんのテリトリーに入るのを許されて、オレは相当ご機嫌だった。

ひかりさんといる時間は、
何も取り繕わなくて良かったから。
素の自分でいられるのも嬉しかった。
だから、それ以上彼女とどうこうなろうなんて、そんなに焦って考えてはなかった。


有田さんという男が、
ひかりさんの前に現れるまでは。
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