Bitter Sweet
「お前がそんなこと言うとはなぁ。おれ、老けた気分だよ…。」

目を真ん丸くしながら、呟く峰さんにオレは言った。

「峰さんも、そろそろ落ち着いたらどうっすか。もう33?ですよねぇ?」

「うるせ。おれは妥協せずに最愛の伴侶を探すのだ!」

メラメラと燃え上がるのを冷ややかな目でみんなで眺めた後、オレ達は仕事をボチボチと片付け始めた。



*****


「…言っちゃったね。しかも峰さんに。」

2人になった帰り道、ひかりが少し感慨深そうに口を開いた。

「んー、だな。でもなんかホントにスッキリしたよオレは。言っちゃうとあっけないもんだよな。」

隠すのは大変なのに、バラすのなんてホントに簡単だ。



「峰さん、周りに言うかな。」

「悪い噂は流さない人だけど、今回のは面白がって言いそうだよな。変な尾ヒレつけなきゃいーけど。」


「あー、不倫とか?」

「そう。逆に女子高生にハマってる、とか。」

クスクス笑いながら歩く。

「取り巻きのコたち、知ったらどんな反応するかな?」


「一応大人なんだし、意外とアッサリみんなオレに興味なくすんじゃん?」

「そうかなぁ…。」

訝しげにオレを見てくるので、
ワシャワシャっとひかりの頭を撫でくりまわして言った。

「心配すんなよ。ちゃんとオレがケジメつけるから。」

「どうやって?」

「それは言わないけど、とにかく信じろって。」

オレはニッコリと余裕の笑みを浮かべた。


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