永遠(とわ)に果てぬ愛



「和奏ちゃんは約束したの?していないよね。悪いけど、先約はこっちだから」



いつの間にいたのだろう。

八塚くんが笑顔で言う。

その間に、莉奈は私を車に押し込む。



「やっぱり、直輝を連れてきて正解ね。あの表情見たら、誰も言い返せないわ」



呆れるように莉奈は言う。

確かに、笑顔のくせに目が笑っていない。

八塚くん、怖いですよ。



「相変わらず、和奏ちゃんは言い寄られてんだね。怜央が大変なのも分かるよ」



運転席に座った八塚くんは、そんなことを言いながらエンジンをかけ動き出す。



「え、ちょっと、どこへ行くの?」



何も聞いていない私は焦る。

今日は、怜央と食事のはずなのに。


だいたい、八塚くんはこんな時間にここにいていいのだろうか。

八塚くんは、身分を隠していない。

社長補佐をしながら、上へのし上がっているらしい。

そのせいもあり、忙しい身だと聞いた。



「今日、天羽と食事でしょ?現地集合で、アタシらは和奏を送る役」


「は?」



いつの間にそんな話しになっていたのだろう。

私は、聞いていないのに。



「和奏、ようやく一つ落ち着いたんだって?」


「え?……林さんのこと?」




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