東京物語
二章



日が決まってからの
“その日”までは あっという間で

当日であるというのに
何処に向かっているのかも

解っているはずなのに解らないような感覚だった


「よっ!」

「あぁ 久し振り」

飛行機から降り
私を見つけたあの人は
そう私に声をかけ

私はそう答えた

久し振りだというのに
あんなに逢いたいと願っていたのに

なんとも出会いはあっけなく

でも それがなんとも私たちらしく

なんだかほっとしていた



< 5 / 36 >

この作品をシェア

pagetop