Always
「――ッ、くしゅん!」

芹沢さんがくしゃみをした。

頭にはタオルがかかっている。

部屋には暖房が効いていると言えば効いているが、冷たい躰が温かくなるにはまだ時間がかかりそうだ。

僕は彼女が作って持ってきたガトーショコラを口に入れた。

甘さ控えめの味が僕の好みで、もしかして僕のために作ってきてくれたのかなと、そんなうぬぼれたことを思った。

「芹沢さんも食べませんか?」

僕はまだ机のうえに残っているガトーショコラを指差した。

「私、ですか?

私は作ってる最中に食べたので、先生が全部食べてください」

言い終えると、芹沢さんはマグカップのコーヒーに口をつけた。
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