Always
どうして手伝おうなんて思ったのだろう?

家にいた頃だって、ロクに家の手伝いをしたことなんてなかったのに…。

どうして急に、コーヒーの用意をする先生の手伝いをしたいなんて思ったのだろうか?

洗面所に行くと、蛇口をひねって水を出した。

手にせっけんをつけると、洗った。

触れてしまった先生の手の感触を消すように。

手伝おうと思った私の思いを消すように。

手を洗い終えると、スマートフォンがチカチカと光っていた。

ディスプレイを覗き込んで見ると、エリーさんからの電話だった。

「――慶太郎くんに、メールを出したんだよね…?」

どうしてエリーさんから電話が?

一瞬出るのをためらったけど、黙っていても仕方がないだけだ。
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