ハリネズミの恋
「そう言えば、今何時だ?」

ふと思い出して、俺はシャツのポケットからスマートフォンを出した。

ディスプレイは、8時15分と差していた。

「間にあう、かな?」

ディスプレイを覗き込んでいる寧々が呟くように言った後、俺の顔を見た。

「仕方ない、走るぞ!」

太がそう言った後、ダッと走り出した。

「あっ、ズルいぞ!」

「待ってー!」

俺と寧々も太の後を追うように走り出した。

6月が終わるのも、後少しだ。

梅雨明けの青空が本格的な夏の訪れを告げていた。
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