10年後のクリスマス…あなたに会いに行きます
17時過ぎにバイトが終わり、社員の通用口を出た所で風間潤平が待っていた。



嘘、本当に待っていた事に驚いた。



「ほら、自転車だろ。一緒に家まで帰ろう。」



自転車を取りに行くと、風間潤平が自転車に跨がっていた。




「樺音がここでバイトしてたのは、少し前から知ってたんだよ。」



いつからばれてたのかな。



「そんな顔をしないでよ。肉まん食べる。」



肉まん食べたい顔をしてたのかな。



確かにお腹はすいてるけど。



「少しでいいから、話をしようよ。」



私は頷いて自転車を 押しながら、コンビニの前にある公園のベンチに座った。




潤平はコンビニの近くの塾に通っていて、 私が働いてる姿を何回か見かけたらしい。



潤平は私が父子家庭である事を知っていた。



別に樺音に同情した訳でなくて、樺音が楽しそうに働いていたから、そっと見守ろうと思ったと言った。




そんな私を見ているうちに、学校では見られない笑顔にひかれたと。



だから、今日は思いきって声をかけた。



なんだか不思議な気分がした。



全く恋愛経験がない私が、高校で人気者の風間潤平に告白されたのだから、嬉しいはずがなのに、惑うばかりでどうしたらいいのか分からない。



困っていると、風間潤平が近づいて来た。



ちょっと、やだ、来ないでよ。



「肉まんさめるから、食べてから返事聞かせて。」



この言葉に緊張がほぐれて、思わず笑ってしまった。



風間潤平って、可笑しな人だな。



笑った顔が父さんに似ていた。






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