甘いキスと蜜の味【本編完結】

我ながら今日も上手く出来た。

冷ましている間に紅茶の準備を…。

そう思っていた時

「…甘そうな、いい匂いだな。」

と、後ろから声がしたと同時に

フワッと抱き締められた。

シャツ越しから感じる逞しい腕

ほのかに香るシトラスと煙草の匂い。

私の鼓動は速さを増してしまう。

「…もう、仕事はいいんですか?」

ドキドキを抑えながらも

何だか声が上ずってしまう。

そんな私を見透かしたように

「…可愛い…光華(みつか)。
お前は相変わらず
俺が抱きつくと
カラダが驚いてるな?
早く慣れてくれよ。
俺まで緊張するじゃねえか。」

と言って、クスクス笑いながら

抱き締めていた彼の右手が

ケーキの近くに置いていた

ハチミツの容器を掴んだ。

「…おっ、美味そうなハチミツ。
柚子入りじゃん!!新しいの?」

「…うん。この間行った時
新商品だって、店員さん言ってた。」

「…そっか。じゃあ今日は
柚子入りのハニーケーキだな?
それは楽しみ…早く食いたい。」

嬉しそうに言う彼の言葉が甘くて

私はドキドキを隠せない。

背中越しに伝わる体温に

私のカラダは

ハチミツみたいに甘く溶けそう。








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