揺れる恋 めぐる愛
最後の光が消え去る直前、主任がその場に立ち上がり

墓石に向かって右手を伸ばした。

そして……

その手に頭を乗せた。

赤い一筋の光が主任を突き刺し、消えていくように見えた。


私は遠目にそれを見ながら、切なくて胸が締め付けられて……

これ以上盗み見る事ができず、その場を立ち去って車に戻った。


私が車に乗って、程なくして主任は戻ってきた。

「すまない……」

それだけ言うと帰路についた。

それから何も話そうとはしなかった。

私も、さっき見たものがなになのかよくわからず、

かといって聞くわけにもいかず、何も話せなかった。


帰りの2時間ほどもお互いに車に流れる音楽に耳を傾け、

いつしか私は少しうとうとと寝てしまっていた。


ICを降りた時なのか、

「おい、そろそろ起きるか?」

その声にはっとして、

「すみません。いつの間に寝てしまっていて……」

「いや。どこで食べるか?」

「いえ」

「気をつかわなくても俺がお前と……」

「すみません」

私はきっぱりと言い、首を横に振った。

しばらく二人の間には沈黙が流れた。

そして、

「わかった」

そう言うと、車の進路を私の家の方に向けた。
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